その瞳をこっちに向けて
「無理でもやるのよ!だって好きなの止めるなんて麻希には無理でしょ?前回はストーカーしてた位だし」
「前回って……。そ、それに。ス、ストーカーじゃないし」
断じてストーカーじゃない。けど、確かに仁先輩の写真を隠し撮りしたり、家まで後をつけたり…はした。
それに仁先輩に彼女が居るって分かっても、直ぐに諦められなかった。
鈴菜の言う通り私は、……簡単に止めたり出来るタイプじゃない。結構しつこいタイプだ。
「好きなのを止められるの?」
鈴菜のさっきよりも優しさを含んだその訊き方にゆっくりと口を開く。
「好きなのを止めるのは、多分、……無理かも」
「だろうね」
私の答えに、クスクスと笑う鈴菜はきっと私の答えなんかお見通しだったのだろう。
好きになっちゃったからどうしよう…なんて言って相談した癖に、結局はその気持ちを受け入れるしかどうしようもないんだ。
それに気付かせてくれた鈴菜に感謝だ。
いい友達をもって、私は幸せだ……ーー
そう思っていた時、鈴菜がパチンッと両手を鳴らした。