その瞳をこっちに向けて
直ぐに離れていったその温もりの正体は明らかで。目の前の紅潮した中畑先輩の顔を見たら何があったなんて誰でも分かる。
私の頬に触れた温もりの正体は、……中畑先輩の唇だ。
「なっ!なななななな何してっ……」
「あー、その。……触れたくなったから」
「そ、そういうことは事前に」
「予告してから?」
そう、予告!予……告?
キスしますね?
ーーーーはいどうぞ。
って事……だよね。それって……。
「そ、それも。どうなんだろ?」
突然の事に動揺して出てしまった自分の考えに首を傾げていると、グイッと中畑先輩の顔が再び近付いてくる。
そして、更に私を翻弄する言葉を吐く。
「じゃあさ。……今度は唇にキスしたいから、していい?」
「ええっ!!」
本当に予告してきた中畑先輩に驚くのは一瞬で。懇願するかの様なその言いようにドッドッドッドッ…と早鐘を打ち始めた心臓は、もう既に爆発寸前。そんな私に更にだめ押しをする中畑先輩は相当な策士なのかもしれない。