その瞳をこっちに向けて
自分用の青と白のストライプの傘を引っ付かむと、外へと一歩踏み出した。勢いよくバッと開いた傘を差し雨の下に進めば、ポツン、ポツンと雨粒が傘の上に落ちて滑っていく。
今はまだ小雨。でも、天気予報が正しければもうじき大雨へと移り変わる。
「小降りの内に急いで行こっと」
そう一人呟くと足早に近くのコンビニへと歩を進めた。
数分後にコンビニに着くと直ぐ様、振り込みを済ます。が、未だ外は小雨のまま。
折角外に出たんだし、ちょっとだけ。
ふとそんな思いが浮かび、コンビニから出て私が向かう先は私の家じゃなくて、仁先輩の家だ。
ほんとにちょっとだけ。
チラッと見るだけ。
ほんとにそれだけ。
そう自分に言い聞かせるも、トクトクトクと早くなる鼓動は正直だ。久しぶりに仁先輩を見れるかもしれないという期待に胸を踊らせている。
報われない片想いは、まだ続きそう。
フッと自嘲気味の笑い声を漏らしたその時、仁先輩の家の近くにある橋に記憶に新しい人影が目に入った。