美月~大切なあなたへ~
ゆっくり、しっかり、土手の土を踏みしめて登っていく。
あんなに走ったのに、呼吸は落ち着いていて、鼓動だけが暴れていた。
この土手の上に着いたら、きっと川の水面が輝いているんだ。
知らない間に吹きはじめたそよ風が、火照った体を少し冷ましてくれている。
あともう少しで、この小高い土手を登りきる。
この高さなら、登りきるのに20歩もいらない。
それなのに、私は一体どれくらいの時間を費やしたのだろう?
いや、時の流れが遅く感じられただけ?
あと…一歩。