ご褒美は唇にちょうだい
「部屋まで荷物を運びましょうか?」


「いい。軽いから」


操は後部座席のドアを開け、するりと車内から出て行く。

駐車場を歩く美しい後ろ姿を眺め、俺は事務所には寄らずにまっすぐ帰ろうと決めた。



鳥飼操は、女優だ。

明日も操は、彼女の仕事を完璧に、120パーセントの力で全うするだろう。

俺の仕事は彼女を守ること。
ありとあらゆることから、全身全霊を懸けて。

操の背中が完全にマンションに消え3分。
部屋に入ったという連絡を受けてから、俺は車のエンジンをかけ直した。





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