Way to happiness
*4*
昨日のいい雰囲気の流れでイチャイチャが過ぎてしまい
体中が痛い

いい歳して何やってんだか…

なんて呟きながら会議室に向かう

「紗都さん…紗都さん…」

給湯室から由宇が手招きしてる

「おはよう。昨日は楽しかったね。どうしたの?こんなとこで。」

「おはようございます。昨日はありがとうございました。
紗都さんのおかげです!お礼に今日のランチ、earth行きませんか?
私ごちそうします!」

「お礼なんていいからランチ行きましょ。earth予約お願いね。」

由宇の肩をポンっと叩くと給湯室を出た

会議室…

「失礼します。おはようございます。」
挨拶を終えると自分のデスクに座り、身の回りを片づける

「おはようございます。一ノ瀬さん、手が空いたら
来てもらえますか?」

PCから目を離すことなく、紗都に話しかける

「はい、なんでしょうか」

すかざず神野のデスクに向かう

「えっと…この資料の昨年度分を見たいんですが…」

神野の横に移動し、PCを見るとメモを取る

「他に見たい資料はありますか?」

ふっと横を見ると…どき!!
思ったより近い!!

ばっと離れてアタフタしていると

「ぇっえっとッ…こっこの資料を元に今回の分を作成したいんですが
一ノ瀬さんのPCにはCADは入ってますか?」

確実に動揺している神野は挙動不審のまま
別のファイルを開ける

「あ、入ってませんが、CADは使えます。入れますか?」
「一ノ瀬さんが使えるのであれば、あっ、俺が入れます。」

神野は席を立つと、紗都のデスクに座り、
カチャカチャと作業を始めた

はぁ…あんな近いと思わなかった…
でも…なんかいい匂いした…
いやいや、そんな事思ってる場合じゃなくてっ
仕事、仕事!

ブツブツ言いながら神野のPCで必要な資料を引っ張り出す

「「終わりました」」

「ぷッ…気が合いますね」

ほら来た…爽やかスマイル

もうドキドキしたりしない
経験豊富な40歳をなめんなよ?

「昨年度分の資料はここにフォルダ作りましたから
必要無くなったらフォルダごと消してください。」

「ここ?あ~わかりました。」

だからッ
近いって!!

「一ノ瀬さん…いい香りしますね…」
「え!!や…えっと…たぶん柔軟剤かハンドクリームかと…」
「ぁぁ…それでこんなに優しい香りなんですね…」
「えっと…あ、あの!次は私何をしたらいいでしょうか!!」

あわてて席をたつ紗都
それを見てクスッと笑うと

「一ノ瀬さんのPCに付箋貼りましたので
それに沿って作業していってください。
それが終わる頃はお昼だと思うので、次の作業は午後にまた。」

「わかりました。業務に入ります。」


デスクに座り、付箋を確認しながら仕事を始める

なんなの?あいつ!
いい匂いとか…

柔軟剤かな…
香水なんて…ずっとつけてないし…

って~~~~!
恋する乙女妄想みたいじゃん!!
仕事!仕事中!!!

尋常じゃないスピードで作業し始め
お昼までかかるはずの仕事があっという間に終わってしまった

どんどん仕事をこなしていくが、神野をまともに見れないでいる紗都

全然集中できない!!

おもむろに席を立ち、神野に

「コーヒーいかがですか?」
「あ、いただきます。えっと、俺のカップは置いてあるはず…」
「わかりました。」

給湯室へ急ぐ紗都

自分のカップを取り出し

落ち着かないわよ!
一週間ずっとこれじゃもたない!

神野のカップを探す

これ?……勘弁して…

コーヒー二つ持って会議室に戻る

「ほんとに気が合いそうですね…」

不機嫌な顔を隠す気にもなれず、そのまま神野のカップをデスクに置く

「ん?あ…くくっほんと気が合いますね。」

紗都を見て、笑いを我慢しながら答える

「会議室に簡単な給湯スペース作ってよろしいですか?」
「お揃いのカップじゃ、夫婦みたいですもんね」
「そんなんじゃ!!…いちいち給湯室行くのも面倒なだけです。」
「給湯スペースは賛成かな。俺も一ノ瀬さんにコーヒー入れてあげたいし」
「へ?や…コーヒーくらい、私が入れますから…」
「毎回入れてもらうのも申し訳ないし…あ!
じゃあ!コーヒーのお礼に毎日ランチをごちそうしますよ!」
「はぁ?余計遠慮します!!」

「可愛いですね…一ノ瀬さん…そういうとこ、俺の好みかも」

「もう!!おばさんをからかわないでください!」

顔を上げると、デスクにいるはずの神野が紗都の横に…

「ちょっ…仕事「おばさんじゃないですよ?あんまり牙向いてると
俺、本気で落としちゃいますよ(笑)」

神野の発言に魚みたいに口をパクパクさせて声が出ない

「一ノ瀬さん…お忙しい所、申し訳ないですがお昼です。
ご一緒しますか?」

へ?あ!由宇ちゃん!!
我に返ったと同時に由宇が会議室に入ってくる

「失礼しま~す♪紗都さん!ランチの時間ですよ~♪」

「は、はい!行く!すぐ行く!!行こう!由宇ちゃん!!」

バタバタと財布とスマホを取り出し、由宇を引っ張って
会議室を出る

「紗都さん?時間ならまだありますよ?」
「いいの!早く行こう!」

由宇を引っ張ったまま早歩きでearthに向かう


あっという間にearthに到着

「変な紗都さん(笑)」とおもしろがりながらドアを開ける

「いらっしゃ~い♪おまちかねだよ~」
へ?あ!壱弥に連絡するの忘れた!

「お前は…また、俺を忘れてたな…」

奥の個室から壱弥の声…

「ごめん!!忙しくて連絡忘れてた!!っていうか
なんでここだってわかったの??」
「はぁ~い!私が創さんに連絡したんで~す♪」

由宇が創の横に座りながら手を上げる

「今日は昨日のお礼に俺のおごりな!」と創

「ここの部屋、こいつらのスタートの部屋なんだと。」
「あ…そういえば…由宇ちゃん初めて連れてきたとき
この部屋だった…」
「そうです!あの時、紗都さんが慰めてくれなかったら
創さんと出会う事も付き合う事もなかったんですから!」
「改めて…二人ともありがとな…」
「やだ、やめてよ。私達が何もしなくても、二人はくっついてたと思うよ?」
「もう泣かすなよ?キレる人間が多いからな」
「李都と小都にも言っといて。ありがとって。今度ケーキ買ってくって」
「了解!さ、食べよ♪」

壱弥と紗都の儀式も終わり、各々食べ始める

「そういえば、紗都さん、会議室はどうですか~?」
「今日から本格スタートだっけ?」

みんなの目が紗都に集まる

…本気で落としますよ…

さっきの言葉を思い出してどきっとする

「え??た、たいした事ないよ!由宇ちゃんでも良かったんじゃないかな~
明日辺り、話してみようか?由宇ちゃんやりたがってたし。」
「え~だめですよ~創さん以外の男性と二人きりなんて私にはできませんっ」
「はぁ??私ならいいっていうの?」
「おい…二人っきりってなんだ?聞いてないぞ?」
「え…会議室でアシスタントしてるだけだし、相手は取引先の人だし
問題なくない?」
「由宇ちゃん…そいつ、そんな感じ?」
「え…えっと…神野さんはぁ…背が高くて、ん~イケメンで~歳は30歳です!」
「由宇ちゃん…なんか詳しくない?」
一つ一つ増えていく好印象にひきつる壱弥と不安そうな創

「紗都…「ちょっと!40のおばさんと30の若造になんかあったらおかしいでしょ!」」
「由宇ちゃん!40のおじさんより30のイケメンの方が…「創さん(笑)…

「「二人ともめんどくさい!!」」

そうよ!40のおばさんと30の若造なのよ!
経験豊富…あ…壱弥しか知らないけど…
40年分の経験値!なめんなよ!

ふと壱弥を見る…
昨日の夜、自分を愛してくれた壱弥を思い出す…

…昔はもっとドキドキしたんだけどな…

…あの唇がいつも欲しくて仕方なかったなぁ…

え…今は違うの?欲しくないの?

そんなことない…でも…
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