この恋、賞味期限切れ


だって、また、南と会えて。

同じ空間で、同じ時間を過ごせるんだよ?


南が入院していた間、寂しさを感じていたから、よけいに嬉しくて、楽しくて。


どんな罰でも、私には至福の時間に様変わりしちゃうの。

変かな? でも本当だよ。


南のことが好きで、好きすぎて、どうにかなっちゃったみたい。



「ほら、憶えてる? 図書室掃除したこと」

「憶えてる。帰りはアイス食って、楽しかったよな」

「うん、すっごく! 今日も、おんなじだよ」

「え……?」

「遅刻した罰も、ふたりきりの時間に変わる。もっとふたりで楽しい時間をつくっていけるってことだよ」

「…………」

「ね? そう考えるといいことだらけじゃない?」



南の顔を覗きこみながら笑いかける。

すると、いきなり耳元を手のひらで包みこまれ、優しく引き寄せられた。


えっ。
え、あ、ぅええ……!?



「み、みな、み……ん、っ」



チュ、と。

かわいらしいリップ音をわざとらしく立て、その乾いた唇が離れる。


鼻先に帯びていた熱が、あっという間に広がっていく。



「い、いきなりは、反則……っ」

「憧子が急にかわいいこと言うから。罰だよ」

「……罰じゃなくて、ごほうびだよ」



ツインテールに結った髪で赤面を隠す。

南は照れくさそうにほころんだ。


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