この恋、賞味期限切れ



「マジな話だからな、これ」

「はいはい、言ってれば」

「やっぱ、うそはもっとうまく言わなきゃダメだな〜」

「やっぱりうそなんじゃん」



やめてよ。

無邪気に悲しい冗談を言わないで。


ひとりになると寂しいなら、私がそばにいる。


そばにいたいよ。



「てか、なにげにすごくね?」

「何が?」

「松井とこんな冗談言い合える仲になるとは思わなかった」

「そうだね。私も、思わなかったよ」



一年生のころの記憶の中に、南の姿はあんまりなくて。

ただのクラスメイトのひとりだった。
それ以上でも以下でもない。


それが今では、何センチ、ううん何メートルも近くなった。
と、思ってる。


だって、頭の中、南だらけだ。

南と笑い合う記憶ばっかりなの。


席替えをしたくない。
離れたくない。

南の隣で、これからも笑っていたいよ。



「一緒に罰掃除させられたり、ひどい冗談まで言われたり……」

「え、悪口? 俺、責められてる?」



ちがうよ。嬉しいんだよ。

大好きなんだよ。


ぱちぱちはじけるサイダーみたいな
ふわふわなとろけるわたあめみたいな

ふたりきりの世界が、心地いいの。



「お好きなように受け取ってくださいな」

「バカにしてるだろ、お前」

「してない、してない」



お前、だって。
ほかの男子に呼ばれてたらムカつくのに。

どうしてだろうね。

南に呼ばれると、きゅんとする。


ただのクラスメイトじゃないから。

でも、“友だち”じゃ物足りなくて。
“親友”だとしっくりこない。

そんな、あいまいなカンケイ。

それは放課後になっても変わらない。


変えたいな。


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