この恋、賞味期限切れ
長い長い英文を読んでいると、晴ちゃんの手が止まった。
「クラス会のとき、南くんと二人で何を話してたの?」
ドキッと心臓が飛び跳ね、ポキッとシャーペンの芯が折れた。
「な、何って……」
カチカチとシャーペンの芯を出しながら、なんとかごまかそうと思考をフル回転させるが、うまい言い訳が思い浮かばない。
真正面に視線を向けると、晴ちゃんは切実な顔をして、私を真っ直ぐ見つめていた。
……あ、そっか。
待っているんだ。
晴ちゃんは気づいている。
私の気持ちに。
今まで黙って、だまされたフリをして。
ずっと待っててくれていた。
私から話してくれるのを、ずっと。
「晴ちゃん……」
「教えて、くれる?」
やや高めのその声は、少し震えていた。
ごめんね、晴ちゃん。
ずっと待っていてくれたのに、自分のことでいっぱいいっぱいで気づけなかった。
親友なのに、私、だめだね。