この恋、賞味期限切れ



「うん、聞いてほしい。ずっと言えなくてごめんね」



大きく首を縦に振ると、晴ちゃんは安堵したように目を細めた。

誰もが恋に落ちそうなくらい愛らしいその笑顔に、胸がきゅっと切なくなる。


いつから、気づいていたんだろう。


夏休みに入る前に一度、晴ちゃんに告白のことを相談したときがあった。あのときにわかっちゃったのかな。それとも、もっと前からだろうか。



「私ね……好きな人が、いるんだ」

「うん」

「その好きな人っていうのは……」



告白して失恋したと、舜ちゃんに端的に話したことはあるけれど、ちゃんと恋心を明かすのは初めてだ。

胃の上あたりが苦しい。

恋バナってもっと気軽で楽しいものだと思ってた。



「「南」」



声が、重なった。



「……くん、だよね?」

「晴ちゃん……」



ズバリ正解。やっぱりバレてたか。晴ちゃんはすごいね。私って、わかりやすいのかな。



「うん、そう。南のことが、好きなの」



好き。その二文字は、花火が消えても現在進行形のまま。

まだ過去にできていない。

好き“だった”。あと三文字を付け足すのが、こんなにも難しく、悲しいなんて。



「話してくれてありがとう」



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