抜き差しならない社長の事情 【完】
黙々とひと仕事を済ませたところで、紫月は席を立った。
向かった先は、二階の休憩コーナー。
朝は混雑するこの場所も、ほんの少し時間をずらすと人影はまばらになる。
カフェオレのボタンを押して、カップに注がれるミルク色の珈琲を見つめていると、
カツカツ と、聞きなれた足音が聞こえてきた。
「おはよう夢野さん」
振り返ると切野社長がいて、
イタズラっぽい笑みを浮かべて紫月を見下ろしている。
「手を出して」