抜き差しならない社長の事情 【完】
コンコン
「はい」
「ハッピーの方がいらっしゃいました」
「はい」
ニッコリと笑った曄が、どうぞと手招きした。
曄の横を通り過ぎる時、
フワッと美味しそうな甘い香りがした……。
――そして
ゴクリと息を飲んで社長室に足を踏み入れると……
まず最初に、明るく広いガラス窓に目を奪われた。
眩しくはないように加工がしてあるのだろう。
微かにくすんで見える外は、どうなっているのか想像もつかないが、
緑の細かい木の葉見えて、それだけで癒されるように優しく揺れている。