海月物語。
 海斗はティンクのプールへ来て、ぼんやりとティンクを見つめていた。すると、ティンクは、餌を貰えると勘違いしたのか、海斗の前に頭をひょっこり現した。海斗は、餌をティンクにあげた。なぜか来海に粥を食べさせてやった場面を思い出した。忘れろっ!!と、海斗は首を大きく横に振った。
«キュッキュキュッキュ»
ティンクの鳴き声だ。
「ティンク、お前俺のことを笑ったのか?」
ティンクは、返事することなくプールの奥深くに潜っていった。海斗がプールを去ろうと思った時、同僚が海斗に近寄ってきた。
「おい!!おまえ、またやらかしたんだって?珍しいことも、あるのな~。」
「・・・」
「クラゲちゃん、最近来ないね。」
「クラゲちゃん?」
「弁当の子」
「ぁあ~。もう、来ないよ。」
「もう失恋かよ。やっぱり俺が声かけたほうがよかったな。」
「そうだな。」
海斗は、プールを去った。
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