冷酷上司の甘いささやき
「……私も結構ワガママなんだって、最近気づいたらからかな?」

普段誰かといっしょにいても、私は自分の意見を主張したりすることはあまりないから、ワガママな方ではないってずっと思ってた。

でも、私ってすごいワガママ。
私が課長に対して不安にならないように、課長はいつも、これでもかってくらいわかりやすく愛情をくれる。
それがうれしくて、安心できて。

だからついつい、甘えてしまう。
たくさんの愛情をもらって、そのうえでさらに甘えてしまうなんて、まるで幼稚園児並みのワガママだ。



それでも、私は課長が大好き。安心できる存在。たとえワガママと言われようと、私は課長から離れたくない……。



「うーん、よくわかりません。私、戸田さんがワガママ言ってるとこ、見たことないので」

「そ、そう?」

「はい。あ、でもそういえば、戸田さん最近なんだか前より明るくなった気がします」

そう言って、日野さんは自分のデスクに戻った。
日野さんにとって、とくに深い意味はない発言だったかもしれない。でも、なんとなくうれしかった。もし本当に明るく見えているのなら、それはきっと、ううん間違いなく、課長のおかげだ。



「戸田さん」

そんなことを考えていたら、うしろから急に課長に声をかけられて、ドキンと胸がはねる。

「は、はい。なんですか?」

やさしい課長。かっこいい課長。時々猫みたいに甘えてくれる課長。たまにSっぽい課長。


私だけにいろんな顔を見せてくれる課長の、今の表情は……



「これ、一時間で全部処理して」



……いつものクールなお顔でした。
……ていうか、その書類の山、なに。
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