冷酷上司の甘いささやき
用紙の内容を見ると、課長が訪問している会社の事業関係の振込のようだった。なるほど、振込先の口座番号と、振込の受取人名と連絡先と……うーん、確かにこの内容、この量はなかなか大変ではある。日野さんの言う通り、今日は確かに繁忙日だし。
でも、今日の帰る時間まで、ということなら、窓口の営業時間が閉まったあとに日野さんと手分けしてがんばればなんとかなるかも。いや、なんとかしないとな。
「じゃ、よろしく」
課長は短くそう言うと、自分の席へと戻って行った。
「戸田さんすみません、ありがとうございます」
「ううん、大丈夫」
ひとりで無理な仕事は頼ってきてもいいから、ほかの人が持ってきた仕事を断っちゃダメだよ……とは、言いたかったけど、お説教みたいになっちゃうかな……と思って、言えなかった。本当は、先輩として言わなきゃいけないんだろうけど……。なんか、そういうの言えないんだよね……。
そんなことを思いながら、私は課長から受け取った一覧用紙を、半分日野さんに渡そうとする。
「あ。あの、とりあえず半分じゃなくて三分の一だけもらっておいてもいいですか? 今、まだ自分の仕事が全然片づいてなくて」
「あ、うん。わかった」
私は日野さんに渡す枚数を減らし、一覧用紙の三分の二を抱えて自分の席に座り直した。
でも、今日の帰る時間まで、ということなら、窓口の営業時間が閉まったあとに日野さんと手分けしてがんばればなんとかなるかも。いや、なんとかしないとな。
「じゃ、よろしく」
課長は短くそう言うと、自分の席へと戻って行った。
「戸田さんすみません、ありがとうございます」
「ううん、大丈夫」
ひとりで無理な仕事は頼ってきてもいいから、ほかの人が持ってきた仕事を断っちゃダメだよ……とは、言いたかったけど、お説教みたいになっちゃうかな……と思って、言えなかった。本当は、先輩として言わなきゃいけないんだろうけど……。なんか、そういうの言えないんだよね……。
そんなことを思いながら、私は課長から受け取った一覧用紙を、半分日野さんに渡そうとする。
「あ。あの、とりあえず半分じゃなくて三分の一だけもらっておいてもいいですか? 今、まだ自分の仕事が全然片づいてなくて」
「あ、うん。わかった」
私は日野さんに渡す枚数を減らし、一覧用紙の三分の二を抱えて自分の席に座り直した。