Live as if you will die tomorrow
どの位、そこに突っ立っていたのか、時間の記憶が曖昧だけれど。
気が付いた時には、諦めたように、スマホは大人しくなっていて、足からは感覚が消えて、窓から見える景色からは、黒が退いていっていた。
青白く染まり、朝日が少しずつ上がってくるのが、俺の目にも映るのに。
ー空生の嫌いな夜明けだ。
相変わらず、頭は、逃した空生の事ばかり。
空生は、甘い香りを纏っていたけれど、この部屋には、微かにも残っていない。冬の空気みたいに、冷たく、透明な酸素だ。
自分の姿や、存在を、拭うように消す事が、空生は得意で、そして、それに何の躊躇いも、執着も、名残も、感じない。
いなくて良かった存在だから。
そう、感じてるから。
「帰ってこいよ。」
誰にともなく、呟いた言葉は、珍しい俺の本音かもしれないし、ただの気紛れなのかもしれない。
自分自身のことなのに、そんなことも分からない。
引いたカーテンを、締めて。
俺はやっと、踵を返し、部屋を後にした。
「おっつ」
マンションのエントランスから外に出ると、眩しい朝日が射してて、目を細めた。
寒気の中で、停めたハーレーに寄っ掛かって、俺ににやっと笑い掛けた誰か。
残像でチカチカする視界から、捉えた輪郭の正体は。
「…崇?」
オンブラの情報屋だった。