沈黙の境界線

「ねえ、モカ・・・私達こうして会うようになったし、名前くらい教え会わないかしら?

この間、お母さんにモカの名前を聞かれて少し困っちゃったの。」


「俺はこのままの呼び名でもいいけど。

ラテとモカなんてなんかシックリくるし。

でもこの呼び名がラテに都合が悪いなら教えても構わないけど・・・」


「じゃあ。」
そう言いかけた私の言葉に重ねるようにモカは続ける。



「教えるのは条件つきだけど。」




笑いもしない彼に、条件というのがどんなものなのか、笑顔を浮かべていた私も、静かに彼を見つめた。



「条件って、何か難しいこと?」


訝しげに探る私に、ようやく薄ら笑いを浮かべた彼は「難しいことじゃない。」と小さく笑う。



それを聞いてホッとした私も口元が弛み聞いていた。


「難しいことじゃないならいいよ。なに?」



すると彼はパソコンチェアに座っていた私の手を引き、床に座る自分の隣に導く。



< 34 / 65 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop