沈黙の境界線



「これから先、決して俺を裏切らないで?俺を見捨てないで?ずっと俺のそばにいて」


数センチの距離で、モカの真剣な眼差しと言葉。


一瞬、一見告白にも捉えられる言葉に不意をつかれたように心臓がドキリと高鳴ったけれど


だけど私を見ているようで、どこか遠くを見ているように
さえ思えるその虚ろさを覚える彼の瞳の色からは


愛だの恋だの


そんなことを感じさせはしない。



「それが・・・名前を教えてくれる条件なの?」


確認するように聞いた私に、彼は頷くこともなく、静かに私を見つめる。



「大丈夫だよ。心配しないで?」


だってモカは


たった一人


私の心に手を差し伸べてくれた人。


そんなモカを裏切ったり見捨てたりなんかできるわけがない。


私がそんなことするわけない。



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