不良探偵
その頃。

「さぁてと」

雛罌粟を攫った黒のアストロは、人気の少ない公園に停車していた。

ドアを開けて車から逃げ出す雛罌粟。

しかし。

「どこ行くんだよ」

既に公園に待ち構えていた多くの男達が、雛罌粟を取り囲む。

「逃げられないって」

アストロから降りてきた青年が言った。

「ここらは俺ら『東京連合』の縄張り(シマ)だからよ」

「東京連合…」

夜の街で援交をしていた雛罌粟なら、名前くらいは知っている。

夜の街を舞台にいわゆる“ヒルズ族”などの実業家らとの交友関係をも築き上げ、凶暴性のみならず人脈の面でも他のグループと一線を画す存在になった半グレ集団。

東京連合OBグループを中心とした“半グレ”集団が六本木や新宿でそれなりの勢力を築いていた事、および元東京連合メンバーが『俺らはこれからどんどん大きくなっていく。俺らの時代が来る、という事だ』と方々で触れ回っていたのを聞いていたからだ。

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