不良探偵
「まぁ座れよ、探偵。何か飲むか?」

ソファに仰け反ったまま言う鏑木。

「酒も煙草もやらないんでな」

「…俺の酒が飲めねぇのか?」

「お前の酒って何だ。お前の酒だったら飲まねぇといけねぇ義務でもあんのか」

「あーあるね。俺の言う事にNOなんて言うんじゃねぇ」

「どこのお坊ちゃんだテメェは。テメェは神か?あ?」

「そうだよ、俺が白っつったらカラスも白だ」

「いっぺん眼科に診てもらえ。お前は神じゃなくて、ただ目がおかしいだけだって分かるから」

「口の減らねぇ野郎だな」

「生憎と口はひとつだけだ。やっぱ目がおかしいな」

「っっ…!」

頭に血がのぼって、テーブルの上の灰皿を投げつけた鏑木は。

「危ねぇな」

耕介が回し蹴りで灰皿を蹴り弾いた事に驚愕した。

「カミサンの顔が脳裏をよぎったよ」

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