不良探偵
その金の置かれたテーブルを。

「!!!!!!」

耕介は足で、卓袱台返しの要領で引っ繰り返した!

グラスが、酒が、そして1万円札が。

鏑木の目の前で宙に舞う。

「分かってねぇな」

耕介は言う。

「謝罪ってのは、床に額擦り付けて、『申し訳ありませんでした、二度とやらないので勘弁して下さい』って土下座して、初めて成立するんだよ。金で納得してくれるのは、お前より弱い奴だけだぜ?ママはそんな事も教えてくれなかったか?ん?」

「……」

憤怒の形相の鏑木。

「思い通りにならねぇとすぐキレやがる。随分と甘やかされて育てられてんな。そういう奴は…」

言いかける耕介の顔面に、拳を叩き込もうとする鏑木!

耕介はそれを、片手で止めた。

「今度は暴力に訴えるんだよ」

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