君を愛さずには いられない
ふらつく足をなんとか動かし

手前の個室のドアを開けたら

何かが飛んできた。

「酔っぱらい!」

俺はドアにしがみつき

目をこらしてベッドの方を見た。

「志穂か?」

「あっちに行ってよ!」

俺は意味もなく笑い出す自分を抑えられなかった。

パチッと部屋がいきなり明るくなった。

その明るすぎる照明に向かって

俺は笑いこけた。

俺の笑い声が部屋に響いた。

それすら可笑しくて腹を抱えて笑った。

「仁?」

俺がとうとう狂ったかと思った河村は

ケットをはいでベッドから脚を出した。

「何がそんなに可笑しいのよ。」

俺はハアハアと息をつきながら

涙目で彼女を見た。

「なんでかって?」

そしてまたひとしきり笑った。

「仁。いい加減にしてよ!」

彼女のキツい声で俺は我に返った。

「悪かった。すまない。」

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