cherish【チェリッシュ〜恋のライバルは男!?〜】
「今はミサキちゃんの顔を見るのも嫌なの!それなのに…」


『こころ〜!』

ぷりぷり歩きでやってくる姿が頭に浮かんできて、思わず眉をひそめた。


私がこんなに拒絶しても、ヤツは毎日絡んでくる。


「えっと、何てゆうたらええんか…お気の毒な話やな」


紺野君がためらいがちに話す。

お気の毒…まぁ確かに。


「せやけど岬さん…やっけ、あの人はホンマに斉藤さんの事、大事にしてはるんやと思うで。
悪気があるわけじゃ…」

「わかってるよ。」


お願いだからそんな真剣な顔で見つめないで。


目を逸らさないと、固まってしまうとこだった。


「わかってんねや」


紺野君が吹き出すように笑った。


端正な顔立ちが一気にくしゃっとなる。

笑うとこんなにイメージが違うもんなんだなぁ。


「だってまぁ…ミサキちゃんとは家族みたいなものだから。
昔から私のこと妹みたいに思ってるんだよ。だから構いたがるの」


実のお兄ちゃんよりもシスコンかもしれない。


「へー、そんな昔からの付き合いなんや…」


頷きながら呟く紺野君。


きょとんとしていると、またあの笑顔。


顔の表情が豊かな人だな。

「何もないよ。てか、さっきの顔可愛いな。もっかいしてや!」


「えっ!?」


顔が暑いのはさっきから怒って血が上っただけではないだろう。


「からかわないで!」


生憎こんな人に可愛いなんて言われて真に受ける程、素直じゃないんです。










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