cherish【チェリッシュ〜恋のライバルは男!?〜】

帰宅

「はぁ…」



…疲れた。



自分の席に戻るなり、ぐったりして机に倒れ込んだ。


「心、聞いたわよ〜!」


興奮したように顔を上気させながら、アユミがやってきた。


「3年の橘先輩とやり合ったんだって?」


その目は子どもみたいにキラキラと輝いている。


「まぁね」


もう噂になってるのか…
少しうんざりして投げやりに返す。


「うっそ、マジなんだ!
やるじゃん!」


まるでゴールを決めた後のサッカー選手みたいに、抱きついてきた。


「ちょっ…何なに?!」


慌てて尋ねる。


「だってミサキ先輩取り合って喧嘩したんでしょ?!

それって修羅場じゃん!
いやん、昼ドラみたーい!」


「はぁ!?」


誰がよ!

濡れ衣よ!

潔白よ!

私は無実よーー!!


…そう叫んで学校中を走り回りたかった。







「ぶははっ!」


その日の帰り道。


彼に見とれる通行人が驚くくらいに、紺野君が豪快に笑った。


今日からテスト1週間前。

部活も休みに入った為、一緒に帰る事になった。


「めっちゃおもろいなー!」


「おもしろくない!」


もー話さなきゃ良かった!

「やって…それ自分めっちゃ短気やーん!あかん、キャラ壊れてくわー」


目に涙を浮かべて笑う姿を見てると、何だかどうでも良くなってきた。


そうか、人にとっては笑い話なのか。






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