cherish【チェリッシュ〜恋のライバルは男!?〜】
「私は元々こうゆう性格なの」

「そうなんやー、まぁそうゆうとこも可愛いけど」


「なっ?!」

「それにしても、ええなー」


「何が?!」

…こっちは可愛いって言われてこんなに動揺してんのに、そんなサラッと話題変えないでよ!


「弁当」

「え?」

「俺毎日パンか学食やから、お兄さんが羨ましいわ!てか毎日エライなー」


「べ、別に!もう慣れてるし」


私に向ける紺野君の笑顔があまりにも優しげで、


『心はお父さんに似て料理上手だなー将来が楽しみだ!』


不意にお父さんを思い出した。

ホテルの料理長をしていたお父さん。


土曜日も日曜日もお仕事だったから、あまり外に遊びに行った記憶は無いけど

お父さんがお休みの日、学校から帰るとよく一緒にご飯やお菓子を作った。


色んな思い出が溢れてきて、少し泣きそうになったのを誤魔化す為に、話題を変えた。


「来週テストだね」

「なー!めっちゃ嫌やわ」

「転校してきたばっかだしね」

テスト前という事もあり、数学のノートを貸したのだった。


てゆうか、よく考えたら変なタイミングでの転校よね…

今は7月の頭。

紺野君が転校してきたのは6月の後半の事だった。


よくわかんないけど、普通は子どもの学校の事考えて引っ越すものなんじゃないのかな…


少し不思議に思ったが、


まぁ急な都合かもしれないしね


そう思い、それ以上深く考えるのをやめた。


「テスト終わるまで部活も出来ひんしー体が疼くわぁ!」

と、ソワソワとしている姿はまるで子どもみたいだ。


何だか可愛くて、クスッと笑うと紺野君がニヤリと笑った。


「まぁその代わり、心と一緒に帰れるからええわ」


ずるい。

前に無自覚かと思ったけど、やっぱり彼は絶対に自分の笑顔の効果をわかってる。


彼にこんな事を言われてドキドキしない女の子はいないだろう。






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