◆Woman blues◆
いや、マンションなんて似たような間取りも多数あるだろう。

ましてや部屋数が同じなら……でも。

似すぎてませんか?

私は冷や汗の出る思いで靴を履くと、鮎川太一に一礼して玄関を出た。

それから迷うことなくエレベーターに向かい、試しに10階のボタンを押す。

……やっぱり……。

エレベーターを降りてようやく確信した。

ここは、私のマンションだ。

マンション内に入ってしまえばどこにも『サンシャインレフト』とは表示してなかった。

もしかしたら壁のどこかに書いてあるかもしれないけれど、一階のエントランスでしか見たことがない。

「……やっぱり」

私はそう呟くとバッグからカギを取り出して玄関ドアを開けた。

慣れ親しんだ室内が視界に広がる。

予想通り秋人は居なかった。

見えない何かの足音を感じ、私は溜め息をついた。
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