◆Woman blues◆
◆◆◆◆

眠る隆太の整った顔を暫く見つめた。

隆太は……隆太はこれで良かったんだろうか。

暫く二人で抱き合っていたけれど、隆太も私も口を開く事はなかった。

お互いに傷を舐め合っただけで、私達はそこに何も見付ける事が出来ないのではないか。

結局私は、隆太を巻き込んでしまっただけなのではないだろうか。

肌を合わせた束の間の依存。

そのほんの少しの時間を共有し、孤独を紛らした私と隆太。

眠りに落ちていった隆太の頬に、私はそっとキスをして立ち上がった。

ごめんね、隆太。

私の闇に付き合わせちゃって、本当にごめん。

拾い集めた服を着ると、私はそっと隆太のアパートを後にした。

あれほど息を切らして走ってきた道のりを、ボロ布のような身体を引きずりトボトボと歩く。

幅の広い横断歩道には私以外に歩く人はまばらだった。

孤独は重い。

歩く速度が上がらない。

明日は、どうなるんだろう。

こんな私でも明日はいい日だと夢みたい。

やっと辿り着いたマンションの自動ドアの前に立つと、私は大きく息を吐き出した。

セキュリティーボックスの前に立ち、部屋番号を押して中に入ると、右手のエレベーターの床に長い脚が見えた。

観葉植物を避けるように覗くと、片膝を曲げて壁にもたれたまま眼を閉じている太一が眼に飛び込む。
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