青空に響く歌

惹かれあう心

それから私たちは毎日のように屋上に行ってはこうやって話をしていた。


「ねぇねぇ、昨日のドラマ見た?」


「あぁ、見たよ。」


「私すごく感動しちゃった!」


「確かにあの主題歌はいいな・・・。」


「あー・・・やっぱりそこなのね。」


「それ以外に何がある?」


「星野くん、主題歌以外にストーリーとかもちゃんと見た方がいいよ?」


「はいはい・・・。」


「あ、聞いてないでしょ。」


「聞いてる聞いてる。」


こんなたわいもない話を毎日してる。


有紀寧には付き合ってるんじゃないかって疑われてるけど。


「俺、こんなにしゃべんの初めてかも。」


「えっ・・・?」


「俺、基本しゃべんないほうだから。特に女子には。」


「へぇ。じゃあ私が最初なんだ。」


「そういうことになるな。」


「何か嬉しいな。」


「何で嬉しいんだよ。というか、まぁ、お前は他の女子と比べては喋りやすいほうだから・・・。」


彼は少し照れながらそう言う。


滅多に見ない彼の表情にドキッと心臓が鳴るのが分かった。


「そ、そっか。」


「他の奴はキャーキャー言うからうるさい・・・。」


「あー確かに入学してからも星野くんキャーキャー言われてたよね。」


「だからお前はそんなことも言わないし一番話しやすい。」


「私もね、正直星野くんとは仲良くなれないなって思ってたの。」


「何で?」


「あんまり友達とか作らなそうだし、冷たいから。」


「冷たいのはいつものこと。まぁ友達はあんまり作らない・・・。」


「でも、お前とはなってもいいかな・・・。」


「えっ・・・?」


「だから、お前とは友達になってもいいって言ってんの!」


この言葉で私は飛び上がりそうになるくらい嬉しかった。


「え、冗談?」


「俺が冗談言うと思ってんの?」


「いや思ってないけど・・・。」


「とりあえず友達になったんだからな。よろしく。」


「よろしくね。」


私たちは握手を交わした。


この握手から




まさか




こんなことになるとは






予想もつかなかった。
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