やっぱり俺のお気に入り
未来はつかまれた腕を振りほどこうとする。



青山はそんな未来の態度に顔をしかめながら、



「離さない・・・って。さぁ、帰るぞっ!」



まるで小さな子をなだめるかのように、そう言って未来の頭を撫でた。



「マジで止めろよっ」



溢れ出した俺の怒りが装っていた冷静さを破る。



バシっ・・・・・



気が付いたら俺は青山を殴っていた。



「・・・ってえなぁ・・・」



体勢を崩し、地面に倒れた青山。



「ったく・・・暴力は止めてくれよ。仮にも俺は教師だよ?それ分かってやってんの?雨宮君。随分と勇気ある行動だねぇ」



青山は倒れた体勢のまま俺を見上げる。



「お前だってそんな事言えるのかよっ?お前が教師??だとしたら教師失格だろ?」



「はははっ。教師失格??ははっ」



「何がおかしいんだよ??」



「・・・はははっ・・・別に・・・とにかく未来、帰るぞ」



余裕そうな表情で、青山は俺に殴られた頬を押さえる。



どこまでも落ち着いた態度の青山に余計に腹が立つ。



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