やっぱり俺のお気に入り
地味女の肩まで下ろした髪はかすかにまだ濡れていて、



それを見てなぜがドキとしてしまう俺。



メガネをかけていないその目は大きくて少し切れ長で綺麗な瞳をしていた。



「ゴメンなさい・・・あの、呼び止めるつもりなかったのに・・・その・・友達が・・えっと・・」



話す声は間違いなく聞き覚えのあるあの地味女の声だ。



「別にいいよ。暇だし、帰るだけだから」



「えっと・・・ゴメンなさい。じゃあ・・」



慌てながら俺の前から立ち去ろうとする地味女。



俺に背を向けた地味女の行動に俺はなぜだか腹が立った。



一緒にいた部活の友達達がもう地味女を置いて歩き出していたのを追いかけようとする地味女。



「未来ちゃん・・・だっけ?家、近いの?」



俺は地味女の後ろ姿に向かって声が届くように大きな声で言った。



すると、びっくりしたように地味女が振り向いた。



「あ、はい。自転車で通ってるんで・・」



振り返った地味女と目が合う。

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