After -deconstruction "God Ideology"



 気がつくと扉が開いているルーシー伯母の家にいた.

扉が開けっ放しになっている時点でおかしく思った.

中には誰もいる気配さえしなかった.

リーリュスの家を思い出した.

昔はそれなりに楽しかった.

でも今はその面影すらなくなってしまう,そういう感じだ.


 すぐに2階に上がった.

ルーシー伯母が寝ていた部屋に入った.

しかしそこには乱れたままの布団一式があったに過ぎなかった.

伯母は元気になったのだろうか.

だから避難できたのかもしれない.

少なくとも伯母はここで殺されていない.

それがわかるのがせいぜいだった.


 ジラスはベッドをさわってみた.

乱れていた布団も荒されてはいない.

しかし暖かくは決してなかった.

部屋のたんすも開けたりしてみた.

そこに伯母がいるはずはなかったが,それでも開けてみた.

もちろんそこにはいなかった.
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