気まぐれイケメン上司に振り回されてます!
襲いたくて仕方なかったって……どうする?と聞かれても、なんて答えればいいのかわからない。だってわたしをからかっているだけでしょう。だったら答えずに、変なことばかり言わないでください!と怒るべきなのか。

とりあえず離れなきゃと思うのに、景さんの指が髪の束に食い込んで、それが動きを制しているような気がして……胸がドキドキしてくる。

待って、落ち着いて。これはただ、わたしをからかっているだけなのだから。変に意識しちゃダメ。

そう言い聞かせていると、シュシュを握っている手がわずかに下へと滑った。

「これ、取っていい? 寝るとき邪魔だろ」

「っ……!?」

本気で言っているの……?
景さんの言動に、わたしの鼓動がいっきに騒ぎ出した。

ふざけているんだよね? だって、景さんにとってわたしはただの仕事仲間でしょう?
だから、襲うとか冗談だよね?

景さんはわたしの反応を面白がっているような気がする。
だけど、わたしを見つめる視線は誘うように甘くて、自分の中の抵抗心を揺さぶられているような気がした。

どうしちゃったんだろう、わたし――。
景さんの瞳がわたしの唇を捉える。そして、ゆっくりと近づいてきた。

キス、されちゃう。
動けないまま綺麗な景さんの顔を見ていたら、鼻先がくっついてしまいそうなところでくすっと笑われた。
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