闇の中のヒカリ

何かが僕の頭を殴る。痛みと共に目が覚めた。
目の前には白い天井がある。ここは何処だ？

ズキッ

痛い。何？

「翔!!目が覚めたのね！」

声のする方に首を動かすと見知らぬ女の人がいた。誰だろう？カケルって何？

「だ、誰ですか？」

問いかけるとその人は泣いてしまった。なんで？僕がわからなかったことがそんなに辛かったの？意味が分からないよ。

部屋のドアが開いた。白い男の人が入って来た。
男の人は「お母さん、こちらへ」と外へと促す。

あの女の人はお母さんなんだね。じゃあ僕は？僕は‥カケルかな‥。あの人はカケルのお母さんで‥僕はカケルであの人は僕のお母さん？

全く分からない。自分がなんなのか。目の前に広がる世界がなんなのか。
ただひとつわかるのは、僕は空っぽなんだ。空っぽの人間なんだ。僕の中に何もなくて、僕の周りにも何もなくて、僕の世界も何もないんだ。

自分の体を見る。白い物が巻かれていた。ここにあるものは白いものが多いのかな。それとも僕の目が白に見えるようになっているのかな。

空っぽの僕には到底わかるはずもないんだけど。