ラグタイム2号店
「確か、もう1つ提灯があったなって思って押し入れを整理していたところだったんだ」

安藤さんは押し入れの中に入ると、
「あっ、やっぱりあった!」

提灯を取り出して、テーブルのうえに置いた。

その提灯も同じように、“海辺”と喫茶店の名前が書いてあった。

「失くした時や壊れた時のために2つほど用意をしていたんだよ」

「へえ、そうなんですか」

俺が返事をしたら、
「今年は朝貴くんと静絵ちゃんも祭りに参加する訳だからさ」

安藤さんが笑いながら言った。

その言葉に、
「えっ、いいんですか?」

俺は驚いて聞き返した。

「当たり前だよ、2人は月明島の一員なんだから」

安藤さんは俺の肩に手を置くと、豪快に笑いながら答えたのだった。
< 66 / 124 >

この作品をシェア

pagetop