ラグタイム2号店
Ragtime5◇逃げた代償
5月から始まった逃亡生活が終わりを告げたのは、本当に突然のことだった。

「白石朝貴くんと黄瀬静絵さん、だね?」

黒髪短髪の男が店を訪ねてきたと思ったら、俺たちにそう告げた。

「藤本大輔の知り合いの真渕雄大(マブチユウダイ)と申します。

探偵業を営んでいます」

男――真渕さんは丁寧に自己紹介をした。

カシャンッ!

静絵の手から持っていたお盆が落ちた。

――ああ、終わった…。

カランカランと床のうえで揺れているお盆の音を聞きながら、俺は思った。
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