すべてが思い出になる前に




友理奈の情報を握る翼は、一体どこまで知ってるのだろうか。


今知ってしまえば、触れてはいけないパンドラの箱を開けてしまいそうになる。



「照史が新婚旅行も兼ねてハワイへ向かう途中、空港で友理奈に似た人を見かけたってさ」


「空港?」



今、友理奈は空港で働いているのか?いや、たまたま居合わせただけだろう。


言葉を失いながらも冷静さを保つ涼太は、翼の目を真っ直ぐ見た。



「そうなんだ。照史は声をかけなかったのか?」


「結構遠くを歩いてたみたいだから、友理奈本人かどうかははっきり分からなかったらしい」


「へぇ」


「会いに行かないのか?」


「空港に行く機会なんてなかなか無いし、元気にしてるならそれでいいよ」



笑って誤魔化した涼太に翼は深く溜息をついた。





< 134 / 369 >

この作品をシェア

pagetop