すべてが思い出になる前に
友理奈の情報を握る翼は、一体どこまで知ってるのだろうか。
今知ってしまえば、触れてはいけないパンドラの箱を開けてしまいそうになる。
「照史が新婚旅行も兼ねてハワイへ向かう途中、空港で友理奈に似た人を見かけたってさ」
「空港?」
今、友理奈は空港で働いているのか?いや、たまたま居合わせただけだろう。
言葉を失いながらも冷静さを保つ涼太は、翼の目を真っ直ぐ見た。
「そうなんだ。照史は声をかけなかったのか?」
「結構遠くを歩いてたみたいだから、友理奈本人かどうかははっきり分からなかったらしい」
「へぇ」
「会いに行かないのか?」
「空港に行く機会なんてなかなか無いし、元気にしてるならそれでいいよ」
笑って誤魔化した涼太に翼は深く溜息をついた。