すべてが思い出になる前に





「今実家に住んでないから、このまま家に持って帰っても飾るところがないしさ。咄嗟に思いついたんだよ」



ふぅ〜んと返事をする茜は、どうも納得行かない様子だった。



「まぁ確かに涼太より友理奈が持っていた方が、チューリップも生き甲斐があっていいだろうけどね‼︎」


「なんだよそれ…」



翼はクスクス笑いながらチューリップの花束の気持ちになっていた。




家に帰ってリビングの電気を付けた涼太は、その足で台所へ向かい小さな瓶を探し出して胸ポケットから一輪のチューリップを瓶に刺して寝室に飾った。



一方、友理奈も家に着いた途端にチューリップの花束をキッチンのカウンターに花瓶をおいて飾った。


このピンク色のチューリップの花言葉は「誠実な愛」


その意味が友理奈に問われる日が訪れるともしれず…。








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