空に願いを…
「出雲桜さん、ですよね?」
そう言って現れたのは
黒いワンピーススーツを着た女性
これは喪服だろうか、
それより、私はこの人を見たことがあった
「…そうですが?」
恐る恐る返事を返す
みっちゃんも心配して
一度乗ったトラックから降りてきてくれた
「以前は大変失礼致しました」
そう言って謝る女性
以前…その言葉で私は思い出した
『…空の、実家で』
彼女はそうです、と言い
少し私と話したい言い出した
「すみませんが、今は引っ越し最中で…」
断ろうとしたが
みっちゃんが私を止めた
「桜、ちゃんと話を聞いてこい。引っ越しなら、こっちでやっとく」
みっちゃんはそう言って行ってしまった
残された私と彼女は
どこに行くあてもなく
さっき鍵を閉めたばかりの部屋に入った