空に願いを…
『おまたせ』
そう言って近づいた私に
ああ、という父
お疲れさま、という母
なぜ、私がここで働いてい事を知っているのか、疑問だ
それを悟ってか、歩きながら父が話し出した
「神田さんが、教えてくれたんだ」
その言葉に驚いた
今まで私は両親の事を話さなかった
確かにさつきさんには
勘当されたと伝えてあった
父の話だと、大地が産まれてから
定期的に写真と謝罪の手紙が送られてくるという
その写真は私と大地
許せなかった日々が
年月を経て、会いたいという気持ちに変わったという
「自分の娘と孫が世話になっているんだ、遅くなったが頭を下げてきた」
頭をさげる?
あの父が?
あまりにも驚いていると
母がクスクスと笑いだした
「お父さんは、大地に会いたいのよ」
ふん、と顔をそらす父は
なんだか、照れているように見えた