one more chance――美少年は女総長――
そして今。
「洸布団出すの手伝って」
「はーい」
押し入れを開けようとする伶の手が止まった。
俺は少しだけ開いた押し入れの中、バスケのトロフィーが入っているのを見てしまった。
伶が押し入れを閉め、後ろを振り返った。
そして俺と目が合う。
「伶ちゃん?」
「な、なんでもない」
そう言って伶は隣の押し入れを開けた。
類と洸が言い争いをしている中、伶は俺に話し掛けてきた。
「愁」
「ん?」
「お前、さっき何か見た…?」
伶は自分で気づいているのか?
俺は伶の声と身体が震えている事に気づいた。
だから俺は嘘をついた。
「?何を?」
「いや、何でもない」
伶…
やっぱりお前……