梅に鶯 ~新選組と私に刀~
長崎行きの日が来た




広沢が、見送りに来てくれた




「皆、仕事で…すみません」

「悠真の事、よろしく頼む」

「はい」











あの日、悠真の話をちゃんと聞けば


悠真と土方を引き裂かずにすんだ



そして、俺も



悠真に捨てられずにすんだ






「朝比奈ぁーーー!!!」






大きな声の方を向くと



きちんと娘姿をしてるのに



全力疾走してくる悠真


子供の頃から変わらない


あっぱれな走り




ドスッと俺に突進して



「もう、会えないだろうから……
これ!おにぎり!!船で食べて!!
それから!!私…江戸に帰るのは
年明けにするから!」



「悠真……ごめん
ちゃんと、聞いてやれなくて
ごめんな?
嫁に行かなくてもいい
悠真が、幸せいっぱいに笑って
過ごしてくれればいい
もう、邪魔しないから……
自由に、幸せになってくれ!」




にっこりと笑ってくれた



「さようなら」









「……さようなら、悠真」












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