梅に鶯 ~新選組と私に刀~
丘には、一見誰もいないように見えた


俺達は、足を止めた


土方さんが、再び走り出し


積もった雪から、悠真を見つけ出した



「悠真ぁ!! しっかりしろ!!」



悠真の唇の色は、黒に近い紫で

血の気のない顔色



駄目だ……




「微かだが、息がある!!!
永倉!!屯所に戻るぞ!!!」



奇跡だ



本当に、奇跡だ




この寒さの中、丸一日は外にいたはず










屯所に到着して、悠真の顔を見ると

口から、微かに白い息が出る


生きてる



よかった






火鉢で温められた部屋に、悠真を運び


手伝い女中に、着替えを頼むが



女中が真っ青になって、部屋から


出て来た



「出来ません」






山崎が降りて来た


「しゃあーない!ワイが一緒にやる!
医者やさかいええやろ!」






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