LOGICAL PURENESS―秀才は初恋を理論する―
漆黒の扉のそばにいたイヌワシが、ぼくのところまで戻ってきた。
翼で繰り返し頭を打たれる。
「ごめんなさい、わかってますって」
だけど、あとちょっと待って。
熱すぎる顔を上げられない。
誰が見ているわけでもないけど、手のひらをどけられない。
リアさんには全部感知されているんだろうか。やましいところだらけだ。
さっき、どさくさまぎれに何て言った?
【あなたをぼくだけのものにしたい】
本音だった。
リアさんに対して、その気持ちが百パーセントなのかどうかはわからない。
でも、少なくとも、ぼくにそういう一面もあるのは確かだ。
恥ずかしくて、苦しくて、くすぐったくて、痛い。
ざわついて仕方がない場所は、頭なのか胸なのか、もっと体の奥なのか。
どこを押さえても収まらなくて、どこかが熱く騒ぎ続けている。
今、どうすればいいのか、わからない。
答えが出なくてじれったい。
叫び出したいくらいに。