Four you ~2+2=4=2×2~

第16話~目を閉じ空~

そう言ったその時、今までは気にも留めなかった風の音や鳥のさえずりが、それまでシャットアウトしていた分も含めたかのごとく、大音量で鳴った。

…言っちゃった…。

うっかり「小説が」とつけるのを忘れてしまった。些細な間違いだけど、今の私にはそれが、意図せずに告白してしまったように思えてならなかった。

「…えっ…?」

先生も目を丸くしている。

「…いや、その…何て言うか…」

うまくかわす言葉を脳をフル回転させて考えるが、時すでに遅し。誰もいない中庭には、私をぎゅっと抱きしめる、先生がいた。

「よかった…」
「…先生…?」
「好きって言ってもらえて…。ずっと待ってたんだ、その言葉」
「…どういうことですか…?」
「僕も好きだったんだ、津田さん…詩音のこと」

かつてないほど、心臓が高鳴っていた。再び周りの音が遮られ、今度は誰かに聞こえてしまいそうなほど、心臓の音ばかりが鳴る。

災い転じて福となす、とは、おおむねこういう時に使うのだろう。はっきりと、そう思えた。

間違いがこんな展開になるなんて、誰が想像しただろうか?

くしくもその時、サイトには「Four you」の書籍化の連絡が来ていた。それは後で知ることになるのだが、思いを伝えるには、やはりベストな時期だったというものだろう。
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