Four you ~2+2=4=2×2~
「…」

次の休み時間、私は拍子抜けしたような気分になっていた。

前の休み時間はそれこそ、クラスの全員とも呼べる人数が私に集まってきていたのに、この休み時間になると、全く来なくなっていた。

…いや、むしろ、前の休み時間に全員が集まってきていたからか…。

「双子ってどんな感じ?」
「間違われたりする?」

今私の耳に届く声は、氷室兄弟と手塚姉妹への質問攻めの声だった。

「双子って言っても、そんなに似てないからな~。普通の兄弟程度には似てるけど、双子感の出るタイミングってあんまりないんだよな~」
「…せいぜい…誕生日をまとめて祝われる程度…」
「何か、姉妹よりは友達なんだよね」
「そうそう、幼なじみみたいな」

…席に座ったまま頬杖をつく私は、この光景にどこか疑問を抱かずにはいられなかった。

男子が氷室兄弟に話しに行く理由は分かる。二人ともイケメンだから、お近づきになっておいて自分の友達のグレードを高めたいんだろう。

女子が氷室兄弟に話しに行く理由も分かる。二人ともイケメンだから、お近づきになっておいて自分の恋人にする確率を高めたいんだろう。

ただ…私ではなく、手塚姉妹に人が集まる理由が分からなかった。

二人は私よりは美人だけれど、クラスの中では中の上。どこにでもいるタイプの顔だ。だから、正直な話、友達のグレードを高めることにはならないはずだ。

双子ということで注目されるなら、氷室兄弟だっているはずだ。声を聞く限り、双子には二卵性と一卵性の二種類がいるということをクラスメートの大半は知らない。ならば氷室兄弟にもっと人が集まってもいいはずだ。

何故手塚姉妹に人が集まるのか、私には分からなかった。私を差し置いて手塚姉妹の元へ走る理由が、思いつかなかった。双子が二組もいるという非日常のなせる業、という単純な理由だとは、思わないし思いたくもなかった。
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