Four you ~2+2=4=2×2~
「あっ…どないしたん?」

嫌な汗が背中に筋を描くのが、やけにはっきりと分かった。

「…ちょっと言いたいことがある…」

横目で尾張先生の顔を見ると、先生も少し気まずそうな顔をしていた。

「何企んでるんだ、詩音?」
「…」

私を除いた世界の全てが、凍りついたように思えた。

「…休日なのにこの部屋から明かりがもれていたからな…不審に思って来てみたらこれだ…」
「そのパソコンに映ってるの、ここだろ? 何で映ってるんだ?」

正直なことを話すわけにはいかなかった。…いや、どちらにせよ二人を騙していたことに変わりはないのだが、映奈と若奈のことを考えると、本当のことを言えなかった。

…でもそうなると、友情に軽重をつけていることになってしまう。そう気づいた時、体中の骨という骨が一度に砕けたような感覚に陥った。

人に傷つけられる。その痛みを、文字通り痛いほど知っているはずの私が、人を傷つけようとしていた…いや、実際に傷つけていたのだ。

それに気づいた時、私は愕然とした。自分自身が果てしなく嫌になり、ここにいることを許されていないようにも思えた。そしてそんな状況にありながらも「ごめんなさい」の一言が出てこない自分に、ますます嫌気がさした。

「やめてあげたら?」

氷が解けたのは、先生のその言葉からだった。

「…二人とも、津田さんの過去に何があったか…知らないわけじゃないでしょ?」
「…それは…まあ…」
「ある程度は知ってますけど」

先生の口調からは、叱っている時の勢いは感じられなかった。

「迫られるとうまく言えないタイプなんだよ、津田さんは。…君達にとっては重要な問題なのかもしれないけど…僕からもお願いだ。あんまり追及しないでくれないかな?」
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