Four you ~2+2=4=2×2~
第4章~そして私は~

第13話~文化祭前篇~

先生に思いを伝えようとする私を縛っていたもの、その一。それは、文化祭。そして。手塚姉妹と氷室兄弟の恋愛模様を見届けてから数日が経過した今日、その当日を迎えた。

「絶対成功させよ~っ!」
「お~!」

円陣を組み、舞台裏で気合を入れる。三年生の先輩にとっては、これが最後の文化祭であり、演劇部として最後の活動。何としても、成功させる。

「ブー…」

開始のブザーが鳴る。体育館のステージが、今宵は私達のための舞台となる。

「今日の特集はこちらです!」

直都扮する、枡鳥慎太(マストリ・シンタ)という朝のワイドショーの顔のその一言から、私達の舞台が始まる。

「『ホログラム家政婦、ついに来週実用化!』ということで…」

枡鳥の隣に置いてあるテレビには、私達がオリジナルで作った架空のニュース画面が映し出されている。

「今回はホログラム家政婦の製作者さんにお話を伺いたいと思います。ご紹介しましょう。株式会社Nホームサービス商品開発部長の天川浩樹(アマカワ・ヒロキ)さんです」
「よろしくお願いします」

天川役の聖都が、枡鳥に一礼する。

「早速ですが、改めてホログラム家政婦の概要をお願いします」
「はい。近年増加している共働き世代のお子さん達の世話をするため、従来は生身の人間を家政婦として雇っていました。ですがそれですと、家政婦側の生活負担も大きくなります。そこで我が社は、3Dホログラム映像を家政婦として各家庭にお届けすることを思いつきました」
「なるほど。ですが、映像が家事をこなせるんですか?」
「3Dホログラムと一口に言っても、それを映し出しているのは機械です。その機械…いわば『最低限の機能だけを備えたアンドロイド」が、家事をするといった形になっています」
「なるほど…」

照明がフェードアウトする。再び明るくなった時には、そこはとある民家になっていた。
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