押しかけ社員になります!


アタタタッ。頭が、…痛い。
でも、フワフワ…してる。気持ちいい枕。

……。て、えっ。ここはどこ?
私…花見から帰ろうと、確か…エレベーターを待ってたはず。

え…。どこ?…どこよ。

グルグル目を動かして周りを見ても、見た事もない部屋。首を起こして見た。
う、あまり首を回すとクラクラする。

白いシーツ…。広いベッド。壁一面の…クローゼット。
どれも、何一つ見覚えが無い。どこだろう…。

私の服、ハンガーに掛かっている…。
私が自分で?そんな事しないな、…出来ないな、この様子では。

あ…、パジャマ?…、大きなパジャマの上だけを着ている。
ネイビーの柔らかいパジャマ…。知らない…。
…?……え?

あ!あ、これは…。もしかして。…やってしまったのか。
目が覚めたら知らない人の部屋。よくあるパターンじゃないの…。
意識の無い私は…酔いに任せて押し倒して…誰かと…シてしまった。
襲ったんだ。そうに違いない。
どんだけ発情してるのよ…。でも。

シーツを被った。どうしよう…私。……誰と。
どうやって帰ったらいいのよぉ…。どこよ…ここ、誰の家なの?
…これでは、もう、部長に合わせる顔がない。…もう駄目だ。

カチャ。
誰か来た?
いやーっ!きっとこんな時、現れた人はこう言うに決まってる。

「起きたのか?よく眠ってたよ」

って。…えーっ!この声。

「ぶ、部長!!ぶ、ぶ、部長ー!」

シーツを捲って声のした方を見た。
イタタタッ。…自分の声が頭に響く…。

「いかにも、俺だが?フ。
取り敢えず水飲め。喉渇いただろ?頭、痛いか?」

「部長~…。あ、はい。頂きます。…じゃなくて。
部長…、あの、私は…その…あの、これは…、やはりご迷惑を?」

「んん。大迷惑だな」

ベッドから飛び下りた。

「申し訳ございません。酔っていたとはいえ。
会社のエレベーター辺りから、全く記憶が無くて…。
部長は、…夢を見ているものだとばっかり思っていました。
きっと私…。好き放題に部長を襲ってしまったんですね…」

頭を床に付けて平謝りした。もう駄目だ…こんな醜態…。

「はぁあ?!」
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