押しかけ社員になります!

*合わせる踏切


お昼休憩になった。先に済ませた数人が帰って来た。
西野さん達どうぞ、と声を掛けられた。
お昼は、早組、遅組で取っていて、私は今日は遅組の方だ。
これで電話から解放される。
資料を見て欲しいだとか、営業の〇〇さんに連絡をとか、この時間でないと連絡が取り辛い相手から等、お昼は結構電話が鳴る。

「では行ってきますね」

「は~い」

遅組のみんなで社食に向かった。


私はお弁当。だいたい、いつも持参している。
たま~に社食も食べたくなるけど、ほぼお弁当だ。
お茶を入れ、空いた席を探した。

あ、あそこに行こうかな。
周りに人は居ないし程よく離れている。
決して人が嫌いな訳ではない。…でもこれではやはり避けている事になるのかな。
みんなで居ると、その場に居ない人の話をしたりするから、それが嫌なのだ。
だから、お弁当を見られるの恥ずかしいから、と言って、わざと離れたところに座るようにしている。

椅子を引いて座った。
さてと…、頂きます。手を合わせて一人呟いた。

「西野は弁当なのか?」

…え?空耳…?声がした方に振り返った。

「ぶ、部長ーっ」

えっ、…びっくりした。えっ?…。まさかとは思った。声は部長だった。
やっぱり…ぶ、部長じゃないか。…一体どういう事?ええー?

「ここ、いいか?」

いきなりの確認、えー!?こ、こんな近くに座られてしまっては、いつものように部長の姿を心置きなく垣間見るという事ができないではないか。しかも、…ご飯が思うように食べられなくなるじゃないか。緊張するし、近過ぎるのも考えものなのに。しかし何故急に?今日に限って。しかも…と、隣に?!座っちゃいます?そのつもり?んー、…朝は少し言い過ぎたとか、思ってくれたのだろうか。じゃないと普通は気まずいよね今日って。あー、だけど部長みたいな人はそんな事は大した事ではないと思うものなのかしら。そうじゃないと日々仕事が成り立たないものね。んー、叱った事を悪いと少しでも思ってくれたのなら、次のレポートも、力の入れようがあるというものだけど…。脈があるか無いかのレベルでも無いか…。まだまだそれ以前の事よね…。
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