その背中、抱きしめて 【上】
昨日のギモン、聞くなら今だよね。
こんなチャンスないよね。
意を決して切り出した。
「あ、あの。昨日の夜、私がスパイク打った時に高遠くんが言った『あの頃と変わらない』ってどういう意味?私のこと前から知ってたの?」
高遠くんは一瞬目を見開いて、その視線を湖の方に向けた。
「実は2年前の夏、全国大会の決勝で先輩を見たんです」
2年前の夏…
私が高遠くんを見た日と同じ日だ…。
「ライトに一際小さい選手がいて、だけど誰より高く跳んでた。そのコートにいる誰より高い打点からスパイクを打ってた。しかもすごい綺麗なフォームで。衝撃でした。こんなにすごい選手がいるのかと思って」
淡々と、でもすごく1つ1つ丁寧に言葉を紡いで。
「そのチームは負けてしまって、みんなは顔を覆って泣いてるのに、先輩は涙をこらえてた。最後に一筋流れた涙にまた目を奪われました」